[ローマ 30日 ロイター] - イタリア政府は30日、来年の財政赤字目標を国内総生産(GDP)比で2.2%にするとし、前政権が4月に示した従来見通しの2.1%から小幅引き上げた。政府は赤字目標の小幅な修正で、予算案を巡る欧州連合(EU)との対立を回避したい考え。
左派政党「五つ星運動」と中道左派の民主党による新政権は来月、政権発足後初めての予算案を公表する。
新たな試算による財政赤字のGDP比は、21年が1.8%、22年は1.4%に低下する見通し。
また今年の成長率は0.1%で、4月の見通しの0.2%から下方修正。来年は0.6%で、従来の0.8%から引き下げた。
このほか、ユーロ圏でギリシャに次いで多い公的債務については、今年がGDP比135.7%で過去最高を更新。来年は135.2%に低下するとした。18年は134.8%だった。
EUが加盟国の財政規律をみる上で注視する成長率変動の影響を除いた構造的財政赤字のGDP比は、2020年に1.4%と、19年の1.2%から上昇する見通し。
欧州委員会は今年7月、構造的赤字を来年までに0.6ポイント引き下げるよう要請していた。
EUに懐疑的な極右「同盟」と「五つ星運動」が連立を組んでいた前政権は、財政運営を巡りEUと衝突してきた。昨年には社会保障予算の拡大により2019年の財政赤字がGDP比2.4%に上昇するとの見通しを示したことで、EUから批判を浴びた。
一方、今回同盟は連立政権から外れており、ガルティエリ経済相は30日、財政問題についてEUと「建設的な対話」を望んでいると語った。
EUの財政規律を順守するための財源確保に向けて、来年1月には付加価値税(VAT、消費税に相当)の引き上げが予定されている。
エコノミストからはVAT引き上げは景気に水を差しかねないとの指摘が出ており、新政府も引き上げを回避する方針を示している。
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